Q1 独身の兄が亡くなった。子はなし。祖父母、親とも既に死亡。兄弟であるBとCが相続人かと…
Q2 父が急死した。葬儀の費用が必要だがお金がない。父の預金からおろして賄いたいが本人が…
Q3 兄が亡くなった父の預金通帳を見せてくれない。兄が過去に使い込んだ疑いもあるので見る…
Q4 子のいない妻が死亡し、その2か月後に夫もなくなった。ともに両親も実子もいない。妻が…
Q5 夫は既に他界。妻は夫の連れ子であるAと同居している。苗字が同じだけで他の手続は一切…
Q6 連れ子を抱えた者同士の男Aと女Bが婚姻。その後Aが死亡。その時の相続人はBとAの連れ子…
Q7 今回兄と同居していた父が亡くなり相続人は兄弟の2人。遺産は少しの現金と1億の住居と土…
Q8 今回長男が亡くなりました。遺産は6000万円。結婚もしておらず子供もいません。直系尊属…
Q9 養子縁組すると苗字を変更しないとだめですか?
Q10 法定相続分での共有登記は遺産分割ですか?
Q11 相続が開始されたが、相続人に障がい者がいるが障害者手帳の交付を受けていない。相続税…
Q12 祖母が孫を養子とした。しかし祖母の相続が開始され遺言書を確認したら「遺産はすべて息…
Q13 父の死亡で母親と同居の兄が「母と同居してお世話する」約束の代わりに遺産分割協議によ…
Q14 夫と死別した妻が義父の療養看護をしていたが、別の男性と結婚した場合、義父の相続が開…
Q15 叔父が多額の借金を抱えたまま死亡。直系尊属は既に死亡。叔父の子どもたちは相続放棄し…
Q16 父は孫のため孫名義で作成した通帳に毎年200万を預金し、毎年贈与税も納付していた。通帳…
Q17 8年前に父が亡くなった時に相続において母、兄、弟が相続人だった。遺産は1億円。遺産…
Q18 夫と元妻の間にはAとBの子が2人。元妻と同居。夫には妹Cがいる。その夫が亡くなり相続が…
Q19 父の財産は自宅6000万、預金4000万ある。これを妻と子に平等に渡すため遺言書を作成。妻…
Q20 長女と次女が長男と同居の母を拉致し長男である自分に会わせてくれない。どうしたらよい…
Q21 Aは現在80歳。生涯独身であり、相続にいは兄弟のみである。自分の死期が近いことを悟り…
Q22 父が特定の不動産を長男の私に相続させる遺言をしましたが、私はこの不動産を相続せず…
Q23 相続させる遺言をしており、受益相続人が相続開始前に死亡した場合、その相続させる遺言…
Q24 父の死亡し遺言書により「母と同居してお世話するのを条件として遺産のすべてを相続させ…

Q1
独身の兄が亡くなった。子はなし。祖父母、親とも既に死亡。兄弟であるBとCが相続人かと思われた。
しかし昔に自分たちを捨てた生みの親は他方で健在に暮らしている。
自分たちを捨てた母親に相続させたくない。どうしたらよいか?
A
生みの親と再婚後に生まれた子(異父兄弟)に相続放棄をしてもらう。母親がいる以上兄弟には相続権はない。相続を知った時から3か月が態度決定の期限だが、母はまだ父の死を知らなければこれに該当しない。兄の遺言書がない以上はこれしか手はない。遺留分もない。特別の寄与の請求も相続人でないならば無償の身上介護が要件である。

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Q2
父が急死した。葬儀の費用が必要だがお金がない。父の預金からおろして賄いたいが本人が死亡すると
預金は下せなくなる?
A
銀行が父の死亡を知る前ならば下すことも自分の通帳に振り替えすることはできます。できるなら普段から交流のある銀行員に頼んだ方があれこれ聞かれずに済みますが。銀行が知ると口座は凍結します。
下した後、「実は父が亡くなって・・」と言っても銀行は「返せ」と言ってこないと思います。銀行が父の死を知ったのは引き出し後のため、銀行に落ち度はなかったことになりますから。
遺言書に特定承継遺言があればその承継者単独で下せます。相続人全員の署名と印がある遺産分割協議書があれば解約はできますが急死では難しいです。改正民法により分割前でも自己の法定相続分の3分の1の割合でかつ政令で定める金額(1金融機関150万円まで)なら単独で下せることができます。ただし自己の相続財産になりますが。

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Q3
兄が亡くなった父の預金通帳を見せてくれない。兄が過去に使い込んだ疑いもあるので見るまでは協議したくない。どうしたらよいか?
A
通帳の金融機関が分かれば、相続人ならば単独でも過去の出入金の記録を開示請求することができます。これはH21.1.22の最高裁の判例でも認められています。仮に金融機関が開示請求を断ってくるなら弁護士に相談するとよいでしょう。

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Q4
子のいない妻が死亡し、その2か月後に夫もなくなった。ともに両親も実子もいない。妻が死亡したとき遺言書で「すべて自分の妹に遺贈する」とあった。この場合、夫には遺留分侵害請求をする権利があったが、するか否かの意思表示をする前に亡くなってしまった。夫には実の弟がおり、夫の遺産を相続する。この時夫の遺留分侵害請求の権利も弟に承継されるか?
A
確かに兄弟には遺留分を請求する権利はないが、今回の事例は遺留分請求の権利を承継できるか、という話である。民法1046条に「遺留分権利者及びその承継人は・・遺留分侵害額に相当する金銭を請求することができる」とある。つまり当該権利は相続され、相続人でる弟は兄の遺留分請求権を行使することができるのである。

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Q5
夫は既に他界。妻は夫の連れ子であるAと同居している。苗字が同じだけで他の手続は一切していない。
妻が亡くなったらAに遺産を残せるか?
A
Aは妻と養子縁組がなされてないと思われるため、妻の相続人にはなれません。妻の遺産を相続させたいなら①養子縁組する②遺贈する、のが最良。ただ養子縁組すればAは妻の氏になります。Aが婚姻すれば婚姻した先の苗字を名乗ることはできます。遺贈に関しては相続税において基礎控除は3千万のみで、未成年控除なども適用できず、また相続税の2割加算も課されます。しかし、「特別縁故者に対する相続財産の分与」という手段があります。相続人のいない財産は財産管理人により債務整理後に国庫に帰属します。しかし家庭裁判所に当該分与を請求すれば、債務整理後の残余財産の中から財産分与を受けることができます。金額は家庭裁判所の器量によりますが。氏の変更等にどうしても抵抗があるなら遺贈されるか特別縁故者を申告するしかありません。
ただ、Aが遺贈を受けたとき、「小規模住宅等の評価額の特例」は同居親族ということになりますので受けることはできます。

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Q6
連れ子を抱えた者同士の男Aと女Bが婚姻。その後Aが死亡。その時の相続人はBとAの連れ子CとBの連れ子Dであっ。数年後、Bが亡くなり相続が発生。そのときの相続人はBの連れ子Dのみであった。Bの相続財産はほとんどがAから相続した財産であったため、Aの連れ子Cは納得いかない。どうすればよいか?
A
残念ながらCが相続する手はありません。
連れ子Dは男Aと養子縁組をしており、連れ子Cは女Bとは養子縁組していなかった。母方の連れ子は苗字が変わることが多いため氏変更時に養子縁組をするが、父方の連れ子は苗字がそのままのケースが多いため養子縁組の手続を忘れる、または縁組されていると勘違いするケースがある。たとえ実父から相続した財産とはいえ既に養子縁組もできない、遺言書もない、相続人も確定している、特別の寄与が認められなければ財産を手にすることはできないのが現実である。

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Q7
今回兄と同居していた父が亡くなり相続人は兄弟の2人。遺産は少しの現金と1億の住居と土地です。
自宅の売却代金で兄が弟に3千万の代償金を払います。遺産分割協議書には「自宅を売却して代償金の30%を支払う」ような文言を考えているそうです。これは代償分割?換価分割?
A
「譲渡代金の30%を代償金として支払う」とした場合、小規模宅地等の特例譲渡所得の申告税額に大きな差が出ることがある。相続税の申告期限時点で代償金の額が定まっていないので、相続税の計算上代償債務(兄)と代償債権(弟)の金額が分かりません。相続税の総額は確定していますが各人の納付税額が確定していないため代償分割として申告できません。
つまり、代償金額を割合で遺産分割した場合、協議書上は「代償金を支払うから代償分割」と思われがちだが実質的には「換価分割」となる。この場合、父と同居していた兄にはこのまま居住を続けると「小規模住宅等の評価額の特例」で土地の価格が80%減税される特例を適用できたが、換価分割になると弟が相続した分(土地の30%は弟の相続分になる)は評価額の特例では減額できないことになる。また土地の譲渡の申告も兄弟別々にしなければならず「居住用財産の特例」(3千万の控除)を受けられず、二重の意味で税務上不利になる。
解決策としては遺産分割協議書の内容を「〇月以内に現金にて3千万を支払う」と支払う金額と日時を明確にすることにより代償分割とすること。
代償分割も換価分割も兄1人の所有として特例の適用もできるが、兄弟の各相続分が確定してなければ特例が使えず多くの税金を納めることになるのである。

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Q8
今回長男が亡くなりました。遺産は6000万円。結婚もしておらず子供もいません。直系尊属も既に死亡。
相続人は妹と腹違いの兄だけです。その兄も6年前から行方が分かりません。相続はどうなりますか?
A
まず、腹違いの兄と長男と両親を同じくする妹では法定相続分が違います。「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする」(民法900条4号)とある。この事例でいくと法定相続分は妹4000万、兄2000万となる。これは遺産分割協議によって自由に割合を変更することができる。割合を変更しても贈与には当たらない。
その兄も6年前から行方不明。失踪宣告は「不在者の生死不明が7年間明らかでない時、家庭裁判所は利害関係人の請求により失踪宣告をすることができる。」とある。失踪宣告されれば死亡したものとみなされるため妹1人で相続ができる。しかし6年では失踪宣告を請求できない。しかし民法25条「不在者の財産の管理」の規定により、不在者財産管理人を家庭裁判所に請求できる。不在者財産管理人は不在者の代わりに家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加する事が出来るのである。この場合は法定相続分に分割される。
相続税の申告については、兄は相続開始を知った時がまだ到来してないため期間の経過はないが、妹に関しては10か月以内に申告しなければならない。この場合、妹は自己の法定分を申告しなければならない。

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Q9
養子縁組すると苗字を変更しないとだめですか?
A
民法810条の規定により養子縁組すると養親の氏に服す、という規定がある。ただし婚姻の際に苗字が変更されたときは養親の氏を名乗る必要はない。婚姻しても苗字が変更されなかったときは養親氏に服す。

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Q10
法定相続分での共有登記は遺産分割ですか?
A
相続が発生した当時、相続人に未成年がいたため相続する土地を保存行為としてされた共有登記は、遺産分割が終わっていないと判断されれば何時でも分割協議ができる、という考え方もできる。
共有登記された持ち分を他の共有者に譲るのは贈与とされるが、遺産分割が無効、取り消しができる場合(相続人全員で協議してないなど)や、分割協議が終了してない等の時はまだ相続中であり相続税の世界であり、贈与税は課されない。とも考えられるのである。
法定相続分で共有登記している場合は、登記簿の登記原因が「相続」となっているときは保存行為の可能性もあり、遺産分割協議をしていないのであれば正式に遺産分割協議をしてその登記をする事が出来ます。これは贈与税の世界ではなく相続税の世界である。

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Q11
相続が開始されたが、相続人に障がい者がいるが障害者手帳の交付を受けていない。相続税の障害者控除の適用を受ける事が出来るか?
A
相続開始時に障害者手帳を持っていなくても次の要件のいずれかに該当する場合は障害者控除が認められる。①相続税の期限(相続開始の日から10か月以内)内に手帳の交付を受けること、又は手帳の交付を申請中であること②医師の診断により明らかに手帳に記載される程度の障害があると認められること。
障害者の区分が分からなくても、後に更正の請求によって相続税の減額を求めることは可能である。

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Q12
祖母が孫を養子とした。しかし祖母の相続が開始され遺言書を確認したら「遺産はすべて息子に譲る」とあり孫養子の相続分はなかった。孫は遺留分侵害請求できるか?
A
請求できる。内容証明郵便な証拠の残る通知で請求する。訴訟は必要ない。現在は遺留分侵害請求しか出来ない。しかし遺留分侵害者と遺留分権利者の合意でなら代物弁済もできる。しかし代物弁済の場合は遺留分侵害者の譲渡であり所得税がかかる。金銭なら権利者に相続税が掛かる。
また、この祖母の行為は「不当減少養子」に該当する。財産を渡す気は無いのに相続税対策のためだけに養子にしたのではと指摘され、税務署長の権限で相続税法上の相続人の数に算入しないことができる規定である。

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Q13
父の死亡で母親と同居の兄が「母と同居してお世話する」約束の代わりに遺産分割協議により遺産の大半を相続させた。しかし兄は1年足らずでその約束を反故し、同居を解除した。この場合、債務不履行として遺産分割を解除できるか?
A
債務不履行による法定解除について、相続人の1人が遺産を取得する代わりに債務の履行を負担することがある。(負担付き遺贈、代償分割)親を扶養する債務の不履行が問題となった事案につき判例は「遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し」「その後は債務を負担した相続人と債権を取得した親との債権債務関係が残るだけであ」「遡及効を有する再度の遺産分割を余儀なくすると法的安定性が著しく害される」ことを理由に、分割協議の解除は否定した。
ただし、債務不履行をした相続人も含め相続人全員の合意により遺産分割を解除するのは許される。
これは民法上の話で、相続税法上は認められない。分割のやり直しとして再配分した場合、その再配分で取得した財産は分割協議で取得したものとはなりません。つまり再配分された部分はについては贈与税や譲渡所得税が課せられるのである。しかし、やむを得ない事情によって合意解除されたときは総合的に判断する、とされ、必ずしも課税されるとは限らないのである。(税務署の判断による)話が戻るが、今回のケースについては遺言書に債務不履行時の規定を明記しておくか、遺言執行者の選任をしておくべきだった。

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Q14
夫と死別した妻が義父の療養看護をしていたが、別の男性と結婚した場合、義父の相続が開始された場合に特別寄与料は請求できるか?
A
特別寄与料の請求権は「相続人、相続放棄者、欠格者、廃除者以外の親族」が請求できる。
この場合、被相続人の親族か否かの判断はどの時点で行うかが問題となる。答は被相続人の相続開始時点で判断することになる。妻の再婚が相続開始前なら親族とはならず、再婚が相続開始後ならば義父の親族とみなされ特別寄与料の請求ができる。婚姻関係終了届出書の提出に関しても同じ判断である。
今回のケースで妻に義父の財産を相続する方法は、①義母に養子縁組してもらう②義父が遺言書の作成③負担付き贈与契約を締結する。方法がある。(②③は生前に義父に行ってもらうことだが)③については負担の全部またそれに類する程度の履行をした場合、贈与者は遺言で贈与契約を取り消すことが出来なくなる。

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Q15
叔父が多額の借金を抱えたまま死亡。直系尊属は既に死亡。叔父の子どもたちは相続放棄した。唯一の相続人であった父は相続の態度を決定しないままその2か月後に死亡した。3年後、父の子どものところに叔父の債権者が取り立てに来た。相続人の子であるあなたは相続放棄をしていないので支払いの義務がある。と言われた。支払い義務はあるのか?
A
相続する立場の人が死亡し、さらに次の人が相続することを再転相続という。(相続の態度決定後に相続することは数次相続という)再転相続での相続放棄の態度決定の期間は「相続する立場になったことを知った時から3か月以」とされている。今回のケースでは叔父の相続人と知ったのは債権者の取り立ての時であり、その時から3か月以内に態度を決定すればよい、とされている。
*以前は再転相続も死亡を知った時からとされていたが、2019年8月9日の最小判で判例で認められた。
注意事項として、「交通費として1万円だけでもいいからちょうだい」と言われて支払うと、債務を了承したとみなされ、法定追認が成立する恐れもあるので絶対に支払わないこと。「これは法定追認ではありませんよ」と文書等で証拠を残して渡せば法定追認にはならない。数次相続に関しても態度の決定期間などは同じ。

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Q16
父は孫のため孫名義で作成した通帳に毎年200万を預金し、毎年贈与税も納付していた。通帳と印鑑は父が保管している。この通帳が税務調査で指摘された場合は名義預金にあたるか?
A
贈与は贈与者と受贈者の双方の合意の意思表示によって成立する契約である。たとえ贈与税を払っていようと受贈者の合意が無ければその預金は贈与者の財産である。父の相続が開始されれば父の相続財産として相続税の対象である。支払った贈与税は更正の請求により還付請求できる。
名義預金と判断される行為として、①通帳と印鑑は贈与者が所持②名義預金の名義人が自由に通帳を使用出来ない③名義人はその預金の存在を知らない④贈与者が贈与税を納付している等で判断される。
逆に、名義預金と判断されないためには①通著と印鑑は名義人が保管する②時々カード等で引き出す(使用する)③贈与契約を締結する④贈与税は名義人が支払う(暦年課税なら非課税)よく勘違いされるのが、贈与税を納税していることと贈与が成立してるか否かは別問題です。

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Q17
8年前に父が亡くなった時に相続において母、兄、弟が相続人だった。遺産は1億円。遺産分割協議が難航したため母が「私の分は同居している兄に譲る」と宣言し、結果兄が遺産の75%を、弟が25%を相続した。その7年後、今度は母の相続が発生。遺産は4000万円。相続人は兄と弟のみ。遺言書で兄に相続させるとあった。今回の相続について弟と遺留分について揉めた。「兄は前回の相続で母から相続分の譲渡を受けている。これは特別受益にあたり4000万+5000万(前回の母からの譲渡分)が今回の遺産であり自分の遺留分は2250万万円だ」と主張した。この主張は正当なものか?
A
最高裁の判例において「相続分の譲渡は生前贈与にあたる」と出た。つまりこの主張は正当である。
今回のケースについて、相続分の譲渡が書面で為されていた場合、相続分の譲渡が認められる。またその譲渡も7年前であり、期間内である。
相続分の譲渡が書面で為されていなかった場合、つまり母の意思表示のみで弟も認めた場合は、遺産分割協議にて決定したものとされ、生前贈与に当たらないのである。
贈与税についてはまだ相続税の世界の話であって贈与税は関係ない、とされている。

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Q18
夫と元妻の間にはAとBの子が2人。元妻と同居。夫には妹Cがいる。その夫が亡くなり相続が開始。
遺言書において「財産の45%ずつを子ABに、10%を妹Cに遺贈する」とあった。しかし子ABは財産の90%を妹Cに、5%ずつを子ABに変更したい旨を伝えた。これは可能か?
A
今回の相続は包括遺贈に該当する。(相続分の割合の指定)包括受遺者は相続人と同じ地位を取得する。つまり変更することは可能である。
相続人と包括受遺者との共通性
①債務も包括的に承継する。②共同相続人と同一の法律状態を生じる。③包括遺贈の放棄は相続放棄となる。④相続回復請求権の消滅時効の規定も類推適用される(財産の侵害、相手を知ってから5年、相続開始の時から20年)⑤財産分離の規定も適用(債務者の請求により本人の財産と相続した財産とで責任財産を分ける)⑥胎児の相続、相続欠格は遺贈でも準用される⑦相続人と同様に、債務控除、葬儀費用を控除出来る。
相続人と包括受遺者との差異
①代襲相続ができない(包括受遺者が死亡、相続欠格になってもその子が遺贈を代襲できない。)
②包括受遺者は寄与分や特別受益の規定はない③包括受遺者は遺留分をもたない④包括受遺者は単独で登記できない(共同相続人全員で行う)⑤受遺者は登記をしなければ第三者に対抗できない。⑥借地権や借家権を遺贈された場合、受遺者は賃貸人の承諾が必要(相続の場合は承諾は不要)特定遺贈の場合は、遺贈を放棄しても相続人の地位は残る。(法定相続人のみ)登記も単独でできる。
今回の相続は包括遺贈なので共同相続人と同じ法律状態が生じるため、包括受遺者全員の同意があれば割合を変更することができる。子ABは相続人であると同時に包括受遺者でもある。つまり包括受遺者として子ABと妹Cとで分割協議によって割合を変更できる。

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Q19
父の財産は自宅6000万、預金4000万ある。これを妻と子に平等に渡すため遺言書を作成。妻に自宅を渡したいが自宅を渡すと預金を渡せなくなる。金銭がないと妻の今後の生活が不安。よい分け方はないか?
A
遺言書に「配偶者居住権」を定める。配偶者は無償で自宅の使用収益件を得る。そうすれば自宅名義はこと妻の共有とし、預金も平等に分けることができる。
配偶者居住権の取得形態
①遺産分割協議②遺言書③遺産分割協議が整わないとき、家庭裁判所の調停や審判で定める。
問題点
①2020年3月31日以前に作成された遺言書の場合はこの制度は使えない。書き直す必要がある。
②配偶者居住権の合意解除や放棄した場合は贈与税がかかる。
③家賃は不要だが必要費(修繕費や固定資産税など)は妻が支払うことになる。
また配偶者居住権は一身専属権のため相続財産にはならない。

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Q20
長女と次女が長男と同居の母を拉致し長男である自分に会わせてくれない。どうしたらよいか?
A
現行法では面会を実現させる命令までは難しい。ただ判例で親との面会交流は法的利益に値する、とされ合意的理由なしに面会を拒めないと指摘し、不法行為として損害賠償を認めている。

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Q21
Aは現在80歳。生涯独身であり、相続にいは兄弟のみである。自分の死期が近いことを悟り、昔交際していたBに連絡。Bはその気持ちに応え看病に来た。そのために自分の夫と籍を抜いた。Aは「俺が死んだら財産はBにあげるよ」と言いBは「ありがとう」と答えた。その後遺言書を書きAは亡くなった。後日、遺産の4000万はBの手元にきたがその後遺言書遺言書に法的効力がないことが判明。それでも相続人である兄弟は相続回復請求も行わず遺産はBが相続したものとした。この財産については贈与とされ贈与税が課税されるのか?ちなみに相続税は控除内のため申告はしていない。
A
この場合、遺言書が無効なら法定相続人である兄弟が相続し、その後Bに贈与したことになるとも思える。
しかし、看病中にされたAとBの会話「俺が死んだら財産はBにあげるよ」「ありがとう」は、死因贈与契約の申込みと死因贈与契約の承諾であるといえる。書面でなされなかった贈与は両当事者はいつでも撤回ができる、とされている。つまり書面がなくとも贈与契約は成立するのである。また死因贈与契約による財産の取得は相続税法の相続税の対象となる。
今回のケースでは死因贈与契約が生前に締結されたとみなされ相続税の対象となるのである。

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Q22
父が特定の不動産を長男の私に相続させる遺言をしましたが、私はこの不動産を相続せず、他の遺産の取得を望んでいます。他の相続人との間で当該不動産を含めた遺産分割協議はできるでしょうか?
A
相続させる遺言では遺贈の規定は適用されない。特定遺産を放棄しても相続人全員の同意を得て、遺言と異なる遺産分割協議を成立させるのが相当の手段だといえる。この方法ならできると解される。
遺贈については特定遺贈の放棄は相続財産に復帰し、包括遺贈の放棄は相続放棄とされている。

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Q23
相続させる遺言をしており、受益相続人が相続開始前に死亡した場合、その相続させる遺言の遺産は子供に代襲相続されますか?
A
相続させる遺言の権利は代襲されません。相続財産に戻り相続人に帰属します。これに関しては民法上の規定はありません。判例にて認められています。遺贈に関しては民法で規定されており受遺者が相続開始前に亡くなれば相続財産に戻ります。死因贈与も贈与の性質上受贈者が亡くなればそこで終わりです。
ただし、相続させる遺言については、予備的遺言を明記していれば代襲相続人、その他の相続人、第三者にでもその効力を承継させることができる。
(例)「Aに甲土地を相続させる」との遺言があったがAは既に死亡している。この場合、遺言に「Aが遺言者の死亡以前に死亡している場合は前条の甲土地をBに相続させる。」との文言があればBに相続させる遺言の効果が承継される。

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Q24
父の死亡し遺言書により「母と同居してお世話するのを条件として遺産のすべてを相続させる」とした遺言があった。しかし兄は1年足らずでその条件(負担)を反故し、同居を解除した。この場合、債務不履行責任を問えるか?
A
これは負担付相続させる遺言である。この場合は家庭裁判所に当該遺言の取り消しを請求する事が出来ると解されている。取り消された場合、その財産は相続人に帰属し、負担付き相続させる遺言の受益者は当該相続人に対して遺言通りの利益を受ける事が出来ます。
負担付き遺贈の場合も同様に取り消し請求できる。負担付遺贈に関しては民法に規定がある。
負担付死因贈与に関しては贈与者の地位を承継した相続人が死因贈与の取り消しを請求できる。
また、相続させる遺言については民法上の規定が存在しないため、判例の事例が参考となっている。
ちなみに負担の限度は、相続財産が遺留分を超過する価格の限度においてのみ、履行責任がある、とされている。
(例)相続財産6000万、相続人は3人。1人に全部相続させる代わりに存命の母の面倒を見る、という負担は、自己の遺留分を超える額、つまり4500万が負担の限度とみられる。仮に遺留分を請求されると3000万を支払うため、1500万円が負担の限度額となる。

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